相田李志短編作品

占い部屋へようこそ

ようこそ、私の占い部屋へ。

初めていらっしゃったようですわね、どちらで私の事をお知りになったのかしら？

インターネットの掲示板…？

…ごめんなさいね、私、そういう最先端なものには疎くて…匿名での井戸端会議みたいなものかしら…？

とにかく、来て頂けてうれしいわ。

さて、今宵の相談事とはなんでしょう？

　未来の恋について？
　ウマが合わない同僚の件？
　先日失くした手帳の行方？

何故、手帳を失くした件を知っているかって？　わかるんですもの。他に言い様がないの。

　で、なあに？

…どうしたの、黙り込んで。

何だか嫌な予感がする。

　「呪術」ですって？

その話も「掲示板」とやらで仕入れたのかしら。

そりゃあ、結婚まで話していた相手にいきなり別れを告げられて、一週間後には六つも年下の女と結婚式あげられちゃあ、あなたのプライドがズタズタになってしまうのも仕方の無い話だけれど…。

どこでその話をって？詳しく聞かなくても、わかるものはわかるの。

いいこと、「呪術」っていうのは、「人を呪わば穴二つ」って言葉通り、危険なものよ。相手を呪うことで、呪う方も同等のものを失う危険があるのだから。