1302人が本棚に入れています
本棚に追加
/963ページ
「待たせてすまない」
「用件を聞こう」
そうフリッツが言うと―。
「艦長、針路について提案があります」
航海長は無駄な話を省き、的確に用件だけをフリッツに伝えた。
「味方からの報告によると、ビスケー湾の西側は敵の索敵が厳しい海域らしいのですが･･･」
航海長は海図に書かれたビスケー湾の西を指差し、そのまま西南西に指を動かしていく。
「アゾレス諸島とビスケー湾の間は、輸送船の航路となっています」
「普段、この航路はアフリカから石油を運ぶタンカーが使う航路なのですが―」
「物資の補給をする為に、多数の輸送船が行き来しているとの情報が入っています」
航海長は話を続けた。
最初のコメントを投稿しよう！