プロローグ

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「わあー、綺麗…」 夏休みのある一日。 二人は公園で空に舞い上がる花火を見ていた。 ちょうど五年前のこの日、健人は真奈に告白して二人は付き合うことになった。 そのため、今日は二人にとって、とても大事な日であった。 「ケン? さっきから無口だけど、どうかした?」 花火に夢中になっていた真奈が健人の様子に気づいて、花火から照準をはなす。 「いや、ちょっとな…。まあ、あまり気にすんな」 「気になるけど、ケンがそういうなら、気にしない」 そう言って真奈は再び花火に目を移す。 「なあ、真奈。実は渡したいものがあるんだ」 「ん? 渡したいもの? 何何?」 真奈は渡しもの――つまりプレゼントを健人がくれると聞いて、無邪気に笑う。 健人はポケットから四角い小さな箱を取り出した。
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