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バァシーン!!
痛みと共に鈍い音が響いた。
「歴史のお勉強の時間に居眠りをするとわ何事ですか!!」
家庭教師のキャティー先生が教科書でマルシュの頭を叩いた。
マルシュは頭を押さえながら時計を見た。
「もう終わりの時間ですね」と嬉しそうに杖を振り呪文をいった。
「レーク」次の瞬間マルシュは姿を消した。
彼はマーク一族の王子マルシュ・エコローズ
マーク族は魔法に優れた種族で、自らの術を生み出す才能がある。
マルシュの使った魔法レークは、見た事がある場所を想像してそこに移動する
テレポートの一種でまだ未熟のマーク族は最初は杖に頼らなければならない。
「全くやってらんないよ~何で昔の人の話を覚えなきゃいけないのさ」
中庭の切株に座って空を見上げるとそこにはキャティー先生がこちらをみていた。
「フッフッフッついに見つけましたよ王子」
キャティー先生は、猫魔一族で王宮家庭教師として王のリュフ・ド・エコローズにやとわれた。
するとマルシュは、
「ごめんなさいちょっと綺麗な花を見つけたので父上にみせて来ます!」
走り出すマルシュ
「もうすぐ剣術のお稽古の時間ですよ!」
キャティーはベランダから身を乗り出して叫んだ。
しかしマルシュは逃げるように走りながら
「ごめんなさい綺麗な花を見つけたので父上にみせて来ます!」
キャティーは牙が出るほどの大きな声で叫んだ。
「もうすぐ剣術のお稽古の時間ですよ!!」
遠くの方から解りましたと微かに聞こえた。
「はぁ…マルシュ様は、優しくて賢い方だけど剣術よりもお花つみやママゴト遊びばかり好まれて…心配だわ。もうすぐお世継ぎかもしれないのに…。」
「父上ー!、父上ー!」
マルシュは、寝室に繋がる廊下を素早く走った。
エコローズ王は、だいぶ前から病気になり寝たきりになっていたためマルシュは少しでも外の様子が解りそうな物を持っていく事にしている。
マルシュはベットのカーテンから顔を覗かせた。
「リンギー先生だ…」
リンギー先生は王の主治医で王が病気になってからというものほぼ毎日寝室にいる。
「……やはり思わしくないのだな。」「え?!…あ…いや…」
眠そうな王の言葉にリンギーは動揺を隠せなかった。王は優しく笑った「ははは…200年来の付き合いだ。顔色でだいたいの事は分かる。」
「…む、そうか。」
リンギーはカバンに医療器具をしまった。
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