序章

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「さて、俺はどうするべきなんだ?」  我ながら間抜けな事を口走ってるな、と思いつつも紅 光夜(くれない こうや)は疑問を口にせずにはいられない。  三六〇度を見回しても人口灯の一つもない路地裏の終着点。つまりは袋小路に追い詰められているのだ。  そこで彼は五メートル程の距離をとって一人の少女と対峙している。黒いスカートと白い上着に黒のロングコートという格好の、セーラー服を着た中学生くらいの女の子だ。  少女の表情を見る限りでは、何やら大層ご立腹らしい。  それを感じ取った紅は、すぐに話題の方向転換を計ろうとするが―― 「ったく、なぁにやってやがるのよ。あんな雑魚、アンタなら一撃で沈められるでしょ」  失敗。  彼女は自分の後ろにある黒く焼け焦げた塊を親指で差し、鋭い目つきで言う。  少女が指し示したのは、紅が気まぐれで助けた三人の非行少年たちだ。  彼ら(一八才)は何を思ったのか、目の前の少女(一四才)を口説いていた。見た目的に性犯罪に適応されるだろう。 「お前、人の苦労を水泡に……ってか生きてんだよな、ソレ?」
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