人間

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ある日 ももはいつもの様に 二階の窓から 隆が帰宅するのを心待ちにしていた。 少し暗くなり始めた頃 隆の姿が見えた。 後ろから猛スピードの自転車が近づき 対向車線には 明らかに酒気帯びた運転の車が来ていた。 《危ないなぁ お兄ちゃんに ぶつからないでね》 ももが思った時 車がハンドル操作を誤り 隆の方へ向かった 《危ない‼》 ももは 窓から飛び降り 隆の上にダイブした。 物凄い音で車はガードレールに突っ込み 隆があと一歩進んでいたら 隆まで巻き込まれていた。 そう ももがダイブしなければ… 「ってぇ… 大丈夫? ありがとう…」 「お兄ちゃんは大丈夫?」 「大丈夫やけど… 君こそ大丈夫なんか… 裸やで…」 裸⁉ お兄ちゃん何言ってんの? 自分の姿を見てももは 言葉を失った 自分が裸の女の子になっていた 「なんでぇ…」 「とにかく これ着とき」 隆が自分の上着をももの体にかけてくれた。 《お兄ちゃんは優しいな…》 こんな時にも ももはときめいてしまう。 「ってか 人が来たら そんな格好じゃ恥ずかしいやんか 自分 家に帰り もう大丈夫やから」 「家に 入れないの… 鍵がかかってるから」 「しゃーないなぁ ほな 俺の部屋に非難しとき 色々済んだら 家まで送ったる」 そう言って 家の鍵を渡された。 迷うコトなく 隆の家に向かう女の子を 不思議に思う隆だった。
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