ボクはアクマ

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漆黒の闇に浮かぶ… 絵に描かれたような月が 僕は好きだ 仄かな薄明かりが 月を縁取る雲を 白く発光している 窓辺に肘をついて 眺める 眺める……… 僕に昼は似合わない ついでに朝も 似合わない つまりは太陽が似合わない あの生命力溢れる 嫌らしくも眩い光は 僕を弱めるものでしかない 嫌いだ… ハッキリ言って僕は 太陽が嫌いだ 僕は闇に生きる住人だから 小さい頃、畏れ多くも 僕は洗礼を受けた この意味が分かるよね? 僕は望んでもいないのに 神の御子になったんだ! 小さい頃はまだ良かった 何とも思わず 祈りを捧げ 情けを乞い 足元に膝まずき その手にキスをし… 無償の愛を受けていた 受けていると思っていた それが間違いだと気付いた時には、僕は大きくなりすぎていた まだ遅くない…? まだ遅くないよ 自問自答を繰り返し 僕は地に堕ちた 大天使ミカエルの双子の兄弟 《ルシフェル》 彼は天使の称号であるエルを剥奪され 地に堕とされた… そして… 彼は堕天使(ルシファー)となった 僕にそれほどの力も称号もないけれど 同じくして地に堕ちてしまった僕は彼と何ら変わりがないだろう 彼は僕であり… 僕は彼であり… 僕らは堕天使だ… 純白の羽根を無くし 漆黒の羽根を手に入れ 頭に浮かぶ輪っかを無くし 捻れた角を生やし 尖った鋭利な爪は 何を切り裂くだろう… あぁ…ぞくぞくするよ… もう怖いものは何もない 闇を支配する僕らは… さぁ…いざ!
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