4人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
(……静かだ)
時折火花が部屋を舞う。
起き上がるほどでもなく、また深く眠りにつくほど疲れてもいない状態で、何をするとでもなくトリューベは唯一の光源である暖炉を見つめている。
先ほどまでの熱はとうに散り、足先が少し冷えている。
薪をくべ直したい…のは山々だが。
(………重い……)
ずっしりと圧し掛かる「物」が、動きを鈍らせる。どころか、全くと言っていいほど動けなくしている。
(…よくこの状況で寝られるな)
規則正しい寝息が、耳から肩にかけて触れる。
それが心地よくはあるのだが、一回り大きい男が全身を圧迫している苦しさは無視できない。
無理矢理に抜け出すほどの体力は残っておらず、かといって寝るに寝られない状況に、トリューベは少し困っていた。
一晩中愛された身体は、ほのかな快感を残している。
最初のコメントを投稿しよう!