第1章

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軽やかなチャイムがようやく授業の終わりを告げてくれた。 僕は大きな欠伸をしながらうーんと両手を伸ばして伸びをする。 春の日差しに包まれた教室はぽかぽかと気持ちいい。 思わず机にうつ伏せて眠りたくなる。 「安藤くん。眠いの?」 そんな僕に気づいたのか、前の席の女の子が声を掛けてきた。 黒茶の細い髪に、くるくるとした丸い瞳。 同級生の伊沢佳奈だ。 佳奈は席についたまま、くるくると胸のタイをもて遊び、暇そうにしている。 「遥は、夜遊びしすぎなんだよ、なあ。デートが忙しすぎて」 突然後ろから、短髪の少年が僕の肩をがしっと掴み、ニヤニヤしながらほっぺたを指でつんつんとつついてきた。 これも僕の同級生で悪友の、前田祐司。 ちなみに僕は、 安藤 遥(はるか)という。 佳奈は、祐司の言葉に眉をひそめる。 「やだ、安藤くん。そうなの?」 やば。これは確実に誤解されている。
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