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ママがもう一杯水割りを作る。
俺は座り直した。
「この店の他に、もう1つ仕事をしてるの。
お客様はうちの女の子達と幸せな時を過ごして、癒されてもらう」
「それ、出会い系ですか」
怪しむ俺にママは違うわ、と笑った。
「確かに出会い系には近いわね。
でも違うのは肉体関係は禁止。本当の恋愛は無し。ただ食事や遊びに付き合ったり、ただお客様の話を聞いたり。つまり偽の恋人を演じるの。お互いにね」
ママは水割りを俺に差し出す。
「あなたの様に、傷ついた人を少しでも癒したい。そんな気持ちで始めたの。人は孤独の中ではずっと心が晴れない。
女の子達が何かのきっかけになる事を望んでるの」
ママは俺を覗きこむ。
「私は信頼した客しか誘わないの。
貴方なら信頼出来るから。
一度会ってみない?駄目なら来なければいいわ。初回は料金サービスよ」
俺はしばらく考えた。
沈黙が二人の間を包む。
やがて俺は口を開いた。
「そうですね、お願いします」
どうしてそう答えたのか今でも不思議だ。だが興味はあった。
それに多分俺は心の中では癒されたいと願っていたのかもしれない。
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