#episode:3#

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声を掛けたところで、また叫ばれんのは堪らない。 俺の弁当箱が入った巾着に手を掛けていたアイツの手を掴んで無言で人気の無い場所へと移動する。 アイツも周りも声にならない間抜け面で唖然としてたけど、そんなことは俺の知ったことじゃない。 俺は、さっさと悪趣味な弁当箱を交換して自分の時間が欲しいだけだ。 校舎裏まで来て足を止める。 ドン と鈍い音を立ててアイツが俺の背中にぶつかる。 どんくさい奴…… 状況がわからないと内面丸出しの顔をしているアイツに手短に用件を伝えて弁当箱を交換した。 やっと飯が食える。 漸く俺は自分の弁当箱を手に入れると、足早に教室に向かった。 周りが何かを聞きたそうな顔をして俺を遠巻きに見ていたけど、気付かないフリをした。 面倒臭いから。
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