踏み出すは戦いの道

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「隊長。初任務の資料です。」 「ああ、ありがとう。」 私が隊長位に任命されてから一日。まだ出来たばかり隊の隊員は一人。 「……。」 彼はレイド=サファル=アルトローグ。 銀色の髪に紫の瞳を持つ冷静な青年。 天界でもっとも戦闘を得意としている種族、アルトローグの子息だ。 本当なら彼が隊長になるはずだったが、辞退したのだ。 曰く… 「俺には他人を率いる力はない。」 ……レイドらしい。 彼とは腐れ縁というやつで、戦士育成協会にいたときからずっと一緒だ。 他の天使から嫌われていた私を助けてくれて、訓練にも付き合ってくれた。 ……私の唯一の友と言えるだろう。 受け取った資料に一通り目を通す。 「……王都近隣の魔物退治か。なかなかの数だな。」 魔物とは魔族たちが生み出した使い魔だ。 力の強い魔族ほど、多くの魔物を従えている。 「俺達なら問題ない。」 「(クスッ)そうだな。……ところでレイド。」 「どうした?」 「いや…任務の時以外はいつも通りに呼んでくれて構わないのだが?なんだか違和感が……。」 「……わかった。ではクリアリス、初任務……必ず成功させるぞ。」 「ああ!」
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