燃ゆる時

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「成利!!!!」 物音一つない暗闇で、女は叫び声を上げて目を覚ました。 「母さん、どうかしたのか?悪い夢でも見たか?」 心配そうに覗き込んだ夫に首を振って涙をこぼした 「…成利の夢を見たの あの子、幸せそうな顔しながら笑ってたの 産んでくれてありがとうって…」 二人はテーブルの上に飾られたフォトフレームに目を向けた そこには3年前に消息を絶った息子が笑顔で笑っている 「君が毎日泣いてるのを見兼ねて…幸せにしているから心配するなと伝えに来たのかもな」 「…成利」 抱き合う二人を見届けた成利は、白山の頭を一つ撫でるとそのまま天に向かって走り出した。 「行こう、白山 殿が痺れを切らして待っている」 . fin
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