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「初芽ちゃんに神谷さん。ここから別行動にしない?」
『え?』
「別行動ですか…」
行く宛も無く、フラッとデパートに来て、朱夏ちゃんがそう言った。
神くんは素知らぬ顔で、明後日の方向を見ている。
急に何で?
「やっぱ、2人の邪魔しちゃ悪いかなって♪」
『いや…』
別に邪魔じゃないけど…
そう言う前に、朱夏ちゃんは神くんを連れて行ってしまった。
私と知世さんは、その場に立ち尽くす。
『…取りあえず、まわってみよっか』
「そうですね…」
やる事も無いので、適当にデパートを散策することにした。
「行くよ、悪魔!」
「はぁ…」
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「初芽さんは、コーヒーメーカーは買わないんですか?」
『…うーん…』
家電売り場に来て、知世さんがそう言った。
コーヒーメーカーか…
私は、フィルターを使ってコーヒーを淹れている。
知世さんは、コーヒーメーカーを使って淹れている。
コーヒーメーカーでも、フィルター使えるんだよな…
うーん…
『どっちが美味しいとかあるのかな?』
「好みの問題だと思いますが…」
『そっかー…』
知世さんに淹れてもらうコーヒーも好きだしなー
どうしよう
展示されているコーヒーメーカーを眺めながら、考える。
そして、笑顔で知世さんを見た。
『コーヒーメーカーで淹れるコーヒーは、知世さんの家で飲めるからいいや』
「…え」
『いつでも飲めるでしょ?』
「…っ」
私は知世さんの彼女だから…
そんな意味を込めて言うと、知世さんが「はい…!」と、嬉しそうに言う。
あー…この笑顔好きだなぁ…
そんなことを考えなから、2人で笑いあっていた。
幸せだなー
カシャッ
「…?」
『? 欲しい物あった?』
「…いえ」
『?』
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