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―ルナ視点―
寄り掛かった扉の中から、嗚咽と鼻を啜る音が聞こえます。
私も鳳ちゃんみたいに泣きたいのを堪えて、病室を後にします。
あれから一週間が経ちました。
短いようで長かったこの一週間、色んな事を悠也さん達と話し合いました。
皆さんは“強くなる事”を望んでいました。勿論私も同じ気持ちです。
龍鵺君から守られる者ではなく、龍鵺君を守る者として、私達は成長するべきだと……私は思います。
命懸けでセリム君を救った、龍鵺君の為にも………。
でも、私はもう少しだけ休まないといけないみたいです。お医者様から魔法の行使も運動も、食事にも制限を付けないと駄目ですと言われちゃいました。
「不便な生活です………」
学園再開まで一週間もありますし……ゆっくり休みましょうか………。
「………まだ数時間しか一緒に過ごしてませんが、私は貴方の事を誰よりも信じていると自負しています。だから、何時か必ず、貴方は帰って来ますよね?私はそう信じていますから………何時までも待ってますから………」
病院から出ると外は既にオレンジ色の空が広がって居ました。そして立ち止まり外から龍鵺君の病室を見上げ、そう呟きます。
再び歩き出し、自宅へと帰ります。
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