44.見えない姿に焦がれて

20/25
721人が本棚に入れています
本棚に追加
/977ページ
『ありがとう』 私の言葉の後に、極上の笑顔で微笑み掛けてくれた貴方。 あんまり綺麗だったから、しばらく見惚れてしまっていた。 『触れても、いいか?』 不意に貴方の親指が、私の唇に触れた。 ためらいながらも、同意するために頷きながら応えた。 私「う、うん…」 緊張で裏返った声に、自分でも恥ずかしくなる。 『今、赤い顔になってる?』 近付いてくる顔と声。 見えていないはずなのに、貴方は私の状況を的確に当てていた。 私「どうし、て……」 それ以上を言葉にする前に、唇が重なった。 初めて重なった時よりも、深くて甘い吐息が混じる。 二人分の熱が重なる度に胸の鼓動が激しく波打つ。
/977ページ

最初のコメントを投稿しよう!