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「やだっ、私……!」
焦った声を出して、
僕の腕から逃れようとする君の身体を離したくない気持ちが強くて、
思わず力を入れてしまう。
僕『逃げないで……』
自分の声が震えるのが解る。
君の首すじに顔をふせて唇でそっと鎖骨に触れた。
その途端に君の身体が反応したように跳ねる。
その動作が、僕の頭を更に冷静にさせていく。
僕『約束の印、付けてもいい?
君をいつか貰いに行くから』
見えない瞳で君を見つめる。
ごくまれに顔の輪郭だけが見えることがあるからするのだけど。
きっと君は知らない…。
成長した君の姿を、僕が夢に見ることがあることも。
小さい頃の面影を残した瞳をした、栗色がかった髪色の美しい少女。
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