第五章 終始という輪廻への秒読

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「…」 「…ルク、いる?」 「お母さん…!?昨日はどこ行ってたの?」 「心配かけたわね、ゼクセルは?」 「本当よ、いつまでたっても帰ってこないんだから、ゼクセルならもう寝たわよ」 「そう、なら好都合だわ」 「…これは?」 「…次元においての研究資料よ」 「…!じゃあ昨日会いにいったのって」 「えぇ、昔の古い友人に…ね」 「それで、これは何なの?」 「これを見て頂戴…」 「これって…、あの最初に次元空間に入っても無事だった人の資料?」 「そうよ…それでここなんだけど」 「…『次元空間移動研究結果、始めて次元空間に入る事に成功した検体No. 631がこの世界におよそ789日ぶりに帰還する』これって…」 「そう、私が研究員をやめてからの話…」 「…『だが検体の体は干からびて、すでに餓死していた、この結果から、次元空間と我々の時間軸は同じ物という事がわかった。 我々はすぐに違う実験を行った、それは餓死した検体を再び次元空間に入れるという事。 これを行うことで、なぜ検体はこの世界に戻ってくることが出来たかを追求する事ができる。 結果、次元は完全に閉鎖された空間という事がわかった。 つまり次元空間に出入り口はなく、入ったときと同様に、出口もどこかで用意しなければいけないのだ。』」 「私のいいたい事がわかる?」 「わかる…ゼクセルの事でしょ?」 「そう、ゼクセルは次元空間からこの世界にやってきた…、それはつまり」 「誰かがこの世界への次元の出口を開いてゼクセルをここに呼んだ…って事?」 「…それはまだわからない、でもあなたは常にゼクセルを監視していて…何が起きるかわからない」 「…わかった」
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