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第一章
「おーい優斗、起きろ」
5時間目、国語。お腹はいっぱい。ここ数日は寒かったのに、今日はポカポカ日和。
そんな居心地のいい条件がそろっていたので、僕は机につっぷしてスリープ(休止)モードに入っていた。
「んぁ?なんだ、和也か」
「『んぁ』じゃねぇよ。今日はこの授業で終わりだから、本屋に行こうって昼休みはなしたじゃないか」
そういえば、そんな約束をしたような気もする。
なにせ、まだ完全に起きてないから記憶があやふやだ。
「ったく…大丈夫かぁ?優斗はもうすぐ受験なのに危機感ない奴だなぁ…」
「まぁ、僕の受けるトコは願書を書くだけで受かることで有名だから」
「いいよなぁ…余裕な奴は」
「和也こそ就職大丈夫なのか?」
コイツは就職組だったはずだ。景気が悪いこの世の中。比較的勉強はできるが、普段の素行に多少難有りのコイツが就職なんてできるのだろうか、と心配になる。
「俺は大丈夫。コネとかフルに使ったからな。もうほとんど内定してるよ」
「ふーん。憎まれっ子世にはばかるってやつだな」
「それは褒め言葉として受け取っておこう」
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