素顔のままで

彼女の嘘、俺の嘘

緑は昔からピアノが得意だった

授業が終わると音楽室により、弾いていた

その曲は甘く切ないメロディー

大人になって知ったが、ショパンの『ノクターン』だった

いまでもピアノは弾いてるのだろうか？

また緑のいる書店に新しい単行本を持って行った
緑は俺に気付いて笑ってる

『佐藤さんは緑ちゃんと知り合い？』と店長さんに聞かれた

『同級生なんですよ』

『そうなんだ、彼女よく働くよ。退院してすぐうちにきたから、すぐやめるかな～なんて思ってたけど、いまや正社員だよ』

『気持ちも優しい人なんですよ』

『１５の時、双子のお姉さん亡くしたらしいけど…そのぶん彼女が元気になればお姉さんも喜ぶさ』

緑、もう正社員になってるんだな…