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今や純白の大鎌は、彼女の右腕にまとわりつく、奇妙な武装になっている。
「……なぁに、それ?」
女の質問に、桜田は顔を上げて返答した。
「<クレセント・ヴァンパイア>の、スキル発動による別形態……名前は<イノセント・ヴァンパイア>」
「……"無邪気な吸血鬼"、か……」
女の呟きから、数秒の沈黙を挟んで、
「それって、いわゆる『武器との統合』ってヤツよね? 解除に失敗した時のこと、考えてる?」
「……」
再び静寂が満ちた後、今度は桜田が口を開く。
「……こんな状況になってみて、何か覚悟決まっちゃった」
彼女は同時に、左手を脇腹の裂傷に当てた。
「あんたからも、"彼"からも……もう逃げない」
自らの意志を表明する、たった数秒の間に、
「……!?」
傷口から流れていた血が、みるみる内に硬化していき、水晶のような塊となって、出血を止める。
「あんたに勝って、きちんと謝る」
手のひらを染める血液も、脇腹のそれと同様に固めて、
「そのためなら……ちょっとくらい危険でも、何てことないわよ!」
桜田は一気に駆け出した。
女は不機嫌そうに鼻で笑い、
「"別形態"とやらを使ったからって、私に近づけると思って?」
伸長させた関節剣で、横から薙ぎ払いにかかった。
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