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周囲のゴミ山を斬り裂きながら迫る刃を見て、桜田は砂煙を上げて立ち止まり、
「ッ!」
硬質化した血を纏う、左の手のひらで受け止めた。
剣がぶつかり合うような硬い衝突音が、宵闇が広がる中に響く。
「なッ……!」
言葉をなくす女には目もくれず、桜田は右手でも関節剣を掴み、
「ふッ……!」
歯を食い縛って、隣り合う刃の節を、力任せに引っ張った。
節と節を繋ぐ数本のワイヤーが、ミシミシと危なそうな泣き声をもらす。
「チッ……!」
舌打ちを一つ残し、女は無理やり刃を回帰させる。
訪れた接近のチャンスに、桜田は疾走を再開した。肩から生える羽の装飾が、軌道に白い影を刻む。
込められる力を全て、純白の手甲を装備した右手に込め、
「だぁぁぁ!」
吠えながら飛びかかる。
一方の女は、防御よりも回避を選んで飛び退き、
「そんな大雑把な攻撃、攻撃の内にも入らないわよ」
桜田の攻撃後の隙を突くべく、関節剣を構えた。
だが。
放たれた桜田の右拳は、大地を豪快に叩き割り、轟音と粉塵を巻き上げた。
「ッ!」
予想を遥かに上回る威力と、自分の元にまで飛んでくる塵に、女は反撃の手を止めてしまう。
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