『愛しい人へ』
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ピッピピッピピピ… 古びたコーポの一室 目覚まし時計の音が鳴り響く。 少年はゆっくりと目を開け… 身体を起こし… クマの縫いぐるみを抱え… そっと、フスマをあける… 『お母さん、おはよう』 少年の声は誰にも届かない… 誰も居ない部屋… 虚しく冷たい箱の中で… クマの縫いぐるみを見つめた。 『おはよう…』 消え入りそうな弱く細い声で優しくささやいた。
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