奏でる指先

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一部始終をつぶさに見ていた鶫が、わざとらしく悲鳴をあげた。 「きゃー!!今の見た見た?」 横にいた和泉をバシバシと叩きながら、辺りにハートマークを乱舞させている。 「見たっす!!さすがは佐伯先生っすね?羨ましいなら、オレたちも……」 「その冗談、つまらないんですけど。」 顔を寄せた和泉を、鶫は一蹴した。 「ちぇっ。オレは本気だったのに。……準備してくるっす。」 和泉はキーボードを抱え、トボトボとステージに向かった。 そんな私たちを、桜ちゃんと絆ちゃんはただ呆然と眺めていた。
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