さよなら須山先生ッ!

7/43
40198人が本棚に入れています
本棚に追加
/1042ページ
「とにかく、そういうわけだ。 悪かったな。こんなヘビーな話して。んじゃ、授業に遅れるなよ」 クラスの雰囲気を和ませるように笑顔を振りまきながら、須山先生は教室のドアに手をかける。 す、須山先生……。 あなたって人は――― 「あ、電話だ」 すると突然、クラス内の沈黙を断ち切るように、電話の着信音らしきものが鳴り響いた。 発生源は、須山先生。彼女は懐から自分の携帯を取り出し、そのまま通話を開始した。 「もしも~し。 ……あ、なんだ母さんか。元気? 私?そりゃあ元気だよ。 で、今日は何の用? え?何? お見合い?……またぁ? いい加減にしてってば。 私はそんななんじゃなくて、ちゃんと自分で見つけたいって何度も言ってるだろ。 ……は?そんなんだからいつまで経っても彼氏の一人もできない……って? 余計なお世話だ! てか、母さんいつになったら少しは大人しくなるんだよ。50歳越えて病気一つかからないって、どんな体? ……あー、ともかく私はお見合いなんてしないからな。父さんにもそう伝えておいて。 うん、それじゃ」 ピっと通話を切って、何事も無かったかのように、須山先生は教室から去っていった。 ……あれ、何だろう、この感情。心の底から沸々と湧き上がる、この感情。 あぁ、そうか。なるほど。 これが殺意か。 ―――――。 「それにしても、どうやらあの話を本当のことらしいっすよ」 時間は流れに流れて、昼休み。 俺達はお馴染みのメンバーで集まり、教室の一角で昼食をとっていた。 ……ちなみに、今日は茜さんは居ない。いつもは、我が物顔でこの教室で飯を食ってるけど、今日は何か、外せない仕事が一日中あるらしい。仕事をサボるような人ではないからな、茜さんは。 んで、俺が昼食である弁当(勿論、夕梨が作ってくれたやつ)を食べていると、吉岡さんがそんなことを言ってきたわけで。 「んと……何の話ですか?」 「何言ってるんすか。今朝の、須山先生が学校を辞める云々の話っすよ」 「あー、あれ……」 思わず俺は箸を止める。 「ってことは、まさか……」 「はいっす。さっき職員室に行って聞いてみたんすけど……昨日、本当に須山先生は辞表を提出したらしいんすよ」 なん……だと……。
/1042ページ

最初のコメントを投稿しよう!