夜を喰む者(人情編)

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……リー・テイシャーという女性がいる。 いや、正確には"いた"。 その女(ひと)はとても美しく、また、猫のように自由な人間だった。 彼女は殺し屋だった。 当時世界最強とも言われ、星の数程の任務を全て完遂したという。 全世界に指名手配され、それでも尚、彼女は"普通"に生活していた。 彼女に憧れ殺し屋となった人間は数知れず。 表の世界でも裏の世界でも、その名を知らない者などいないほど、リー・テイシャーは有名だった。 ところが、一年ほど前から彼女は忽然と姿を消してしまう。 死んだという噂も流れた。 だが完璧な行方不明故、詳細はわからず、リー・テイシャーの伝説は幕を閉じた。 そしてここに一人、リー・テイシャーに憧れ殺し屋になった者がいる。 裏の世界で次々と任務こなし、現代に蘇ったリー・テイシャーとまで呼ばれた。 しかし誰もその殺し屋の素性を知らない。 男か女か。 若いのか年寄りか。 名前も体格も。 誰も正体を知らない。 いつも黒いコートにサングラス。ニット帽で正体を隠している。 それが殺すのは夜の街に蔓延る悪人のみ。 その殺し屋の名を裏の世界ではこう呼んだ。 『夜を喰む者』
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