第二五章 《愛しい刻》

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「初めなんだっけ?あねさんろっかく?」 「ちゃうよ。まるたけえびすが先。あねさんろっかくが次で……間違えたら堪忍ね?」 何年も歌っていなかったから、もしかしたら間違えるかもしれない。少しだけ緊張し、口を開いた ―まるたけえびすに おしおいけ ―あねさんろっかく たこにしき ―しあやぶったか まつまんごじょう ―せったちゃらちゃら うおのたな ―ろくじょうさんてつ とおりすぎ ―ひっちょうこえれば はっくじょう ―じゅうじょうとうじで とどめさす (あぁ……彼女は何も変わっていない…) 柔らかく優しい声 純粋な漆黒の瞳 自分が好きな笑顔 昔と何も変わっていない音羽に稔麿は安堵のため息をもらした コメカミに軽く口付け、音羽に笑顔を向けるとお返しにと言わんばかりの笑顔を稔麿に向ける 心地好い雰囲気が二人を包む 静かに稔麿の整った顔が近づき、音羽は目を瞑った 「なにやっちょるんじゃあぁぁぁぁあ!!!!!」
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