第二五章 《愛しい刻》

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「坂本さんと中岡さん来れて良かったな」 「中岡はいらないけどね」 邪魔をされて二人が去った方向を睨み付ける稔麿。すこぶる機嫌が悪い 「うちらも戻らへん?」 「あんまり長居してると煩いしね。」 俊輔と九一が鬱陶しいと思える絡みが待っているに違いない。あとは晋作による妬みの視線 軋む床を踏み鳴らして稔麿はピタリと止まった 「忘れものした」 「取ってこようか?何を忘れたん?」 「んー?それはね……」 視野いっぱいに稔麿の端麗な顔立ちが広がり、唇には柔らかい感触。それが口付けだと分かるのに時間はかからなかった 「………いきなりはやめてぇな」 「だって驚いた音羽可愛いもん。素直な音羽も可愛いけど」 また小さくチュッと音を鳴らして、音羽の手を握った ――幸せにするから僕の傍にいてね その意味を込めて握ったのを知るのは稔麿だけ
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