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由利の両親は、働きに出ているため、家は静かだった。
――コツ、コツ……。
時計の秒針が正確に時を刻む音が響く。
1人でいると、嫌でも昨日のことを思い出してしまう。
夢ならいいのにと、思った。
けれど、身体に残る傷と、鮮明に思い出される海藤のあの歪んだ顔に、現実なのだと思いしらされる。
昨日の恐怖が蘇ってくる。
手が震えていることに気付き、ギュッと握りしめた。
どうしてこんなことになってしまったんだろう。
どこで道を間違えてしまったんだろう。
自分の行動を悔やんだ。
昨日、家になんて行かなければ…話し合おうなんて思わなければ、こんなことにはならなかったのかもしれない。
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