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私は夜の町を歩いていた。
別にこれといった理由などない。
ただ気が向いただけ。
たまには出歩きたくなる時もあると言う事だ。
数日後には高校の入学式が控えているけど、別にこれといって感慨も無いし、心機一転改まった感じも無い。
ただ中学生から高校生に上がるだけ。
それにしても夜の町は静かで良い。
少し前まではこんなこと思いもしなかったろうな、と、私は自嘲気味に笑った。
良くも悪くもあの人の影響である。
つくづく兄妹なんだな、と、再認識させられる。
そんな感傷に浸っている最中、また珍しい状況に立ち会ってしまった。
男の子(見たところ私と同じ歳位の)が、複数人の大人達に絡まれてる状況。
気になった。
いや、気に障ったというのが正解なのかもしれない。
人が気分良く過去を振り返っていた最中に、そんな事されたら誰だって気分が悪くなるってものよ。
何より人が困っているのだから見逃せない。
本当に、つくづく、救いようのないくらい、あの人と私は兄妹だ。
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