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「ボク、大丈夫?」
龍太郎は、柔和な写真通りの笑顔を俺に向けてきた。
それに素直に頷く俺。
「ここは川があって危険だから、少し奥の……木の陰で休もうね。立てる?」
それには、俺は首を横に振った。
こんな足首じゃあ立てそうには無かった。
「そっか……じゃあ、よいしょっ!」
龍太郎が俺を軽々と背負うと、少し奥めいた場所にある木の陰に向かって歩き出した。
背中が大きい。
昔、親父の背中も大きいと思っていたが、それよりも数段大きい。
そして、何より……安心感があった。
雨に濡れた体がじんわりと暖かくなるのを、俺は感じた。
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