12才の失恋

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「私は、海斗が私を嫌いになっても…海斗が私にどんなひどい事をしたとしても、海斗を愛していく自信がある。…ううん。違うわね…海斗を愛して生きる事が…私の全てなの…。」 そうだ。 私にとっては海斗への愛が全て。 「海斗がいなくちゃ……苦しくて息の仕方すら忘れてしまうかもしれない。あなたの愛がどんなに深くても、私は海斗への愛の深さを譲れない。……あなたに海斗は渡せない。」 泣きながら、でも彼女の目を真っ直ぐに見つめ言い切った。 彼女の目は大きく見開かれ、その表情がみるみる悲しげに変わっていく。 「な…によそれっ…」 「…ごめんね…」 「謝らないでよ!…惨めになるっ…。」 それ以上なんて言っていいか分からず、口を閉ざした。 彼女はしばらく泣きじゃくった後、静かに口を開く。 「こんなの…完全な負けじゃない。…こんな深く愛し合ってる二人…どうやって引き裂けば良いのよ…。あなた達二人はどうかしてるわ!まるで…お互いがいなきゃ生きていけないみたい…。」 するとそれまで黙っていた海斗が話し出した。
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