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砂糖八杯入り緑茶を出したがやはり口をつけようとしない。
埒が明かないのでこちらから話を切り出す。
「トチらなかったか?」
「当然。本番の緊張感が、逆に身体を動かしてくれましたよ」
水無瀬の性格からして、大勢の前で演説や演技をしたことなどなかったのだろう。
「というか、本当に来なかったんですね。その愚直さは尊敬に値します」
と、ポケットから紙を出し、
「お楽しみがなくなっちゃいました」
破り捨てた。
あの退部届で、僕をいじるつもりだったんだろう……。
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