長編02 斧谷

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 砂糖八杯入り緑茶を出したがやはり口をつけようとしない。  埒が明かないのでこちらから話を切り出す。 「トチらなかったか?」 「当然。本番の緊張感が、逆に身体を動かしてくれましたよ」  水無瀬の性格からして、大勢の前で演説や演技をしたことなどなかったのだろう。 「というか、本当に来なかったんですね。その愚直さは尊敬に値します」  と、ポケットから紙を出し、 「お楽しみがなくなっちゃいました」  破り捨てた。  あの退部届で、僕をいじるつもりだったんだろう……。 .
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