最強の新婚旅行記

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「あ、はい!」  何故か少し緊張した面持ちで俺の言葉に答えるカタリア。 「剣聖殿。確かに見た目は合っていないように見えますが、カタリア王にはそれこそが相応しいと私が保証しますよ」  すると、関節を確かめていたウォッシがそんな俺を見てそう口にする。俺はそれにそうか、と短く答えサファルトの方へと振り向く。 「サファルト、俺はどれを使えばいい?」  今の俺の状態は無手。元々、目的はただの観光で使い勝手のいい武器など携帯していないし、この世界で武装する必要もない。  そして、国崩しをする訳でもないのに伯父さんコレクションは有り得ない。 「ルシファ殿にはあの魔剣、……といきたいところなんだけど……」 「済まない。まだ私にも成長する余地がありそうだからね。死んでしまうのは遠慮させて欲しい」  ウォッシの感情のないそんな言葉に、サファルトはですよね、と苦笑いを返す。  ……可笑しいな。何でいつの間に、全くこの人は、みたいな目で見られてるんだ俺は? 「そういえば、俺の相棒はどうなったんだ?」  俺のよく叫ぶ可愛い相棒ちゃんと最後に会ったのはあの暗雲漂う魔王城。無論、そこでサクッと死んでしまった俺があいつのそれ以降を知る訳もなく。サテナから渡されないという事は恐らくこいつらが持っているだろうと思って俺はそう尋ねる。 「すいませんルシファ殿……。あの剣は今この国には在りません」  こいつ等が管理しているだろうという想像通り、けれどこの場にはない、ではなくこの国にはないという驚きつきな返事を返してきたのはカタリア 「ルシファ殿の剣は、人である私達には過ぎた力でした。ですので、今は私が秘密裏に造った神殿に奉納してしまったのです」
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