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一緒にベッドに横になりながら、ショウの背中をトントンとリズム良く叩いてやる。
ショウはサルのぬいぐるみをしっかり抱き抱えながら、あっという間に眠りについた。
しばらく様子を見ながら、背中を叩き続けた。
ショウ事、笑平(ショウヘイ)は4歳で、あたしが17歳の時に産んだ、れっきとしたあたしの子。
いわゆるシングルマザーと言うやつだ。
高校2年になってすぐの頃、当時付き合っていた彼氏との間に出来た子供が笑平だ。
まさか自分が妊娠するなんて思いもしなかったあたしは、まだ16歳の子供だった。
妊娠が分かり、あたしは彼氏に告げた。
だけど…彼氏は堕ろしてくれの一点張りだった。
あたしは頑として首を縦には振らなかった。
まだ自分では何も出来ない子供だった。
それでも、お腹に宿った新しい命を殺す事は出来なかった。
お母さんに伝えた時、初めてお母さんが泣く姿を見た。
お母さん自身もあたしと似たような感じだった。
あたしの父親は、家庭のある人だったらしい。
それでもお母さんはその人を愛してしまった。
あたしがお腹にいる事が分かった時、お母さんは何も言わずに都会から地元に帰ってきた。
いくら自分が愛していても、しょせんは不倫。
家庭を壊す事は出来なかった。
それでも愛した人の子供を殺す事は出来ず、あたしを1人で育てる決意をした。
今は亡きおじいちゃんは激怒したけど、お母さんは必死であたしを守ろうとしてくれた。
まぁ、結局あたしが産まれたらおじいちゃんもおばあちゃんも溺愛しだしたらしいけど。
そんな事情があったから、お母さんは娘のあたしが同じような苦労をするのが辛かったみたいだ。
だけど、あたしが産みたい気持ちもよく分かっていた。
最終的には、笑平を産む事を許してくれた。
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