Reportage9-1

7/15
447人が本棚に入れています
本棚に追加
/962ページ
「あなたは別の街から来たの?」 「うん――冒険をしてる途中で相棒と逸れてしまってね、この街で相棒を見かけたらしいんだけど、中々見つからない」  青年は漆黒の頭を掻きながら広場の中央に視線を送る。 「そういえば、今日はやけに賑やかだね? 昨日は閑散としてたのに」 「今日は特別な日なの。シャレット邸の二人の貴族が挨拶をしにこの広場にやって来るのよ。だからみんなそれが見たくて集まってるの」  ふーんと青年はどうでも良さそうに返事をした。  首をコキコキ鳴らしながら青年はくるりと振り向いて、また首を傾げる。 「君もそうなの?」 「え? うん、まぁ……」  自分の気持ちを確かめたいだけなんだけど、見ず知らずの青年に言ったって仕方ない。  ちょっと恥ずかしい気もするし。
/962ページ

最初のコメントを投稿しよう!