*+。間違いなく彼女を消すよ。+*

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「…ポプリ?」 泣いていることに気付かれてしまった……。 は、恥ずかしい…! 何だか全てに恥ずかしい…!! 私ばかり、1人で焦って……フィルは何も気にしてなんかいないのに……。 チクッと胸が痛んだ。 そう思うと、さらに涙が追い討ちをかけるように流れ出てくる。 うわぁ…!逆効果だよ…!! なに自分で自分を追い込んでるんだ…!私のバカ! 「…ご、ごめんね…な、何でもないから…」 両手で必死に涙を擦って笑ってみせた。 フィルに心配かけたくない。 この間だって、だいぶ迷惑と心配をかけたんだ。 笑わないと。 心配かけないように笑わないと。 笑わないと…―。 急に、両手が動けなくなった。 別に金縛りにあったわけじゃない。 手が疲れたから、止めたわけじゃない。 フィルに両手を掴まれていたから…―。 「………?」 「泣かないで」 そう言ったフィルは、とても苦しそうで…綺麗に歪んだ顔が徐々に近付いてきた。 え?なに…? 怖くなって、ギュッと目を瞑った。 その瞬間、柔らかい感触が瞼に伝わる。 瞼に…… 瞼に…… フィルの唇の感触が……!! 優しくて……でも何だか苦しそうに寄せられた唇。 でも、フィルの温かさが伝わってくる…。 瞼に落とされた重みにボーっとしていると、ゆっくりその重みが離れていった。 瞑っていた目を開くと、目の前には真っ赤になっているフィル。 「え…フィ…」 「わ、わあああぁああぁ!!!」 予想外の表情に、驚きの言葉を漏らすと、ドンッとワケも分からず、後ろに張り倒された。 「…???」 「わああああぁあああ!!!」 そう言って、フィルはバタバタと走って、部屋を出て行った。 「…わぁー」 私といえば……放心状態。  
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