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「フィルったら、何があったのかしらねっ」
クスクスと笑うアンジェリーナに、頭の中にポッと疑問が浮かんだ。
そういえば、アンジェリーナとフィルは結ばれる運命で…2人は出会った瞬間から恋に落ちるはずなんだけど、アンジェリーナからは、その気があるように見えない。
2人を見てて思ったけど、フィルの一方通行にしか見えない。
「…ねえ、アンジェリーナ。変なこと聞いてもいい…?」
「なぁに?」
私の言葉に、アンジェリーナはにっこり笑ってくれる。
知りたい。
聞いてみたい。
ゴクッと生唾を呑み込み、私は口を開いた。
「アンジェリーナはフィルのこと、好き?」
「…………」
な、なぜ答えない!?
アンジェリーナはポカンとした表情をした後、「あはっ」と笑った。
「なぁに、急に。
好きに決まってるじゃない」
「だ、だよね」
やっぱり私の思い過ごしか…。
「フィルも好きだし、アルも好き。もちろんポプリも好きよ!」
「へ?」
それって、異性として好き…とかではなく。
友達として好きってこと?
「いや、私が聞きたいのはそうじゃなくて…!
フィルを異性として好きかどうかってこと」
アンジェリーナとフィルは出会って、すぐに恋に落ちる。
それが王子とヒロインの運命だと決まっている。
でも、望みがあるならば…と願い、聞いてしまった。
あるわけがないのに。
返事を待っていると、アンジェリーナから予想出来ない言葉が出た。
「異性として?
それは、分からないわ」
分からない…―?
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