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―2009年 夏―
ミーンミ-ン
「…暑い…あっつーい!!」
太陽の熱を全身に浴びながら、日陰のない道を歩く人が一人。
肩に長い筒のようなもの、学生かばんを。手には布袋に包まれた長い棒のようなものを持っている。
腰よりも長い髪を高いところで一つに括っているが、それでも腰の辺りまで伸びているそれを時折邪魔そうに払いながら歩く。
胴着と袴を着ており、武道をたしなめているのがはっきりと分かる。
そんな格好のせいか、元々中性的で綺麗な顔立ちをしているのも手伝って、男性のように見える。
藍原桜香(アイハラオウカ)
高校2年生、17歳。
彼女は、れっきとした《女》である。
「疲れたー!弓道って集中力いるからな~。
でも、日本一になれたんだ…
嬉しーなー♪」
実は彼女、ある事情により、弓道に柔道、空手、合気道、剣道、薙刀、槍術、クレー射撃。
その他色々な事に手を出し、極めている。
特に剣道と弓道、それに合気道は全国大会で優勝する程の実力。
そして今日は弓道の全国大会があり、彼女の言う通り、優勝した。
今はその帰りで、細長い棒と筒の中身は弓と矢である。
…それにしても…
ふと空を仰ぎながら呟く。
「暑い…暑すぎるよ…;大体日陰が一つも無いってどうゆう事よ…」
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