陽気な街

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   ―シスマ帝国帝都―  西洋風に設計された煉瓦造りの陽気な雰囲気に包まれた帝都。シスマ帝国は古く、千二百年ほど前から栄え続ける一大国家であり、世界的に見て犯罪件数が少ないことから平和な国と目されている。  そんな周りからの目とは裏腹に、帝都などのように数多の民族が集まる都市部では、近年犯罪件数が上昇傾向にある。都市を巡回する憲兵――今で言う警察――の数を増やしても、その現状は変わらなかった。  だが憲兵のみならず宮廷騎士を数人送り込むと、ぴたりと犯罪件数の増加は収まり、従来の平和で安全な帝都に戻った。この成果を皮きりに幾人もの騎士が各地へ派遣され、その土地土地で犯罪者の取り締まりを行う事になった。  しかし、そうなると宮廷を守護する騎士の不足に悩まされてしまった。そこで国王は提案した。 「剣術大会を行う。その上位入賞者より我が直々に騎士を任命する」  そして、3ヶ月後帝都にて剣術大会が正式に執り行われることが決まった。そして、各地で我こそはと立ち上がる若者が剣士訓練所に通うこととなった。  
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