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少女が困惑しながらも男が言った髪の色について考え
『よく茶色くて珍しいねって言われたけどってあれ?あたし…誰に褒められたんだっけ?』
そう思いながらも本当に誰かに褒められたのかどうかの記憶も怪しく、男に何と答えたらよいのかわからずにただ少女は困った顔で肩下まで伸びている艶やかな髪を触った。
すると先程の男が冷たい声で
「あんた…異人か?」
と問い、思いもよらない言葉に
「え?」
少女が驚いて顔を上げると
「っ!」
男の冷たい視線とぶつかった。
「あ、あたし…異人ではありません」
男の鋭い眼差しに声が震え、少女は胸元をぎゅっと握るが
『でも、確かにあたしの格好は怪しまれても仕方がないよね…』
と俯くと、しばし沈黙が続き重苦しい空気が流れていたその時
「まあまあ。もし、この方にやましい事があるなら、私達にわざわざ話しかけたりせんでしょう」
穏やかに男達を諌めてくれる優しい声に、少女がはっと顔を上げると年配の神主らしき人物、が優しい眼差しを少女に向けていた。
「ありがとう…ございます」
思わぬ大人たちの冷遇に恐怖さえ感じていた少女が優しい言葉に安堵し
「娘さん、大丈夫かな?私はここの神主だ。心配はいらんよ」
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