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少女が緊張した顔を少しゆるませて、神主に感謝の気持ちを伝えようと再び口を開いたとき
「おい、お前。お前はどこから来た。この辺りじゃ見ねぇ顔だ」
と先ほどの男が少女を上から見下ろしながら睨み
『お前お前って・・・偉そうに。黙ってりゃ、結構格好良いのに…』
と少女が心の中で毒づくと
「わかりません」
と不貞腐れ気味に答える。すると
「あ?わからねぇだ?年端もいかねぇガキじゃねぇんだ。お前…ますます怪しいじゃねぇか」
と、ずいっと少女に近づきながら男は更に睨みをきかせると、そんな男の鋭い視線に少女も下から負けじと睨もうとした時
「まあまあ、土方さんもそのくらいにして。娘さん、すみませんね」
と火花を散らす二人の間に、にこやかに入ってきた人物がいた。
少女はその声に不思議と力が抜け、土方と呼ばれた男から離れるとにこやかに笑う男に目をやり
『優しそうな人・・・』
と見た目は少しばかり土方と言う男より年上らしい男に心が和み、目の皺が人の良さを醸し出しているのを感じる。だが
「おい」
と言う不機嫌な声に、少女は再び土方と呼ばれた男に視線を戻すと
『この男!偉そうに異人だ異人だって騒いで』
と大きな黒目がちな目で睨みつけた。
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