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「そうだ。美菜はシリウスの血を継いでる」
健太の落ち着いた声はぼくの心の深いところまで届いた。
美菜は、小さな唇をうっすらと開けたまま眠っている。ぼくたちの行く手に白く大きな機械が立ち塞がっている。
美菜が夢の側の人。確かに美菜の超人的な能力にはいつも驚嘆させられた。
「美菜の場合は、君たちとは違うんだ。ぼくが彼女にシリウスの心臓を移植した」
「え? 移植?」
ぼくは健太の言葉が俄には信じられなかった。
「信じられないかも知れないけれど本当のことだ」
健太はそう言うと目の前の大きな機械に視線を向けた。
「これは何?」
ぼくは白い機械に歩み寄ろうとする。
「わからない。ちょっと待ってろ」
健太はぼくを制する。美菜をコバルト色の床に静かに横たえると、機械の向こう側に回った。
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