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美海さん。遅いな。
沖田は天井を見ながら思う。
夜中になっても部屋に美海は戻って来なかった。
時刻は夜の1時を回っているだろう。日にちが変わった。
夕方から夜に駆けては原田や永倉、土方などの幹部が見舞いに来た。
美海からはどうやら風邪と伝えられていたらしい。
熱もあるし、風邪には違いないのだが。
そんな心配をしながらも熱で頭はクラクラするし、襲い来る睡魔には勝てず、沖田は瞼を閉じた。
「んー――…あれ?ここはこう?」
スー…
スス…
シンとした部屋に筆を滑らす音が響く。
「あれ?違う!」
グシャ!
クシャクシャにした紙を後ろに投げた。
美海は治療室の中で顕微鏡の図面を書いている。
いくら海外が発展して、作れる技術があったとしてもきっと図面がないかぎりつくれないからだ。
昔誰かに習った記憶と自分の知識を混合させて書くがそう上手くはいかない。
「あ゛ー――!」
グシャグシャ!
バタンと美海は仰向けに倒れた。
かれこれ夕食を食べずにずっとしているのだ。
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