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どうして入院しているのかさえ知らされぬまま、晃は孤独な生活は強いられていた。
そして、岩田と出会った。
「あやまるなよ……。それより、1つお願いがあるんだけど?」
岩田の大きな胸に渦もれながら呟く。
「なんでも、俺に出来る事ならな」
「キス……してくれる?」
「お前なぁ~」
今は、岩田だけが生きる証だった。
岩田の顔を見る事が出来る。
岩田の声を聞く事が出来る。
岩田の手のぬくもりを…包み込む暖かさを感じられる。
そう出来るのは生きている証拠なんだと…そう思った。
ふいに、唇がぬくもりで覆われる。
「ありがとう。俺、先生の事が好きだよ。何時の間にか好きになってた。ずっと、天国に行っても、地獄に行っても先生の事は忘れない……」
次の日、晃の容態は急に悪化した。
岩田ら医師達は晃を助けようと必死で治療に取り組んだ…が、既に遅かった。
それから間も無く、晃は亡くなった。
その死顔は、晴れ晴れと薄い笑みを浮かべていたという……。
そして、主の居なくなったベッドには何時しか白い羽根が一枚舞い降りていた。
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