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少しでも姉の負担にならぬように。
少しでも支えになるように、
ボクは年齢を誤魔化しバイトを始めた。
バイトの合間や家では常に参考書を眺めて…。
他の奴らに離されないように独学で勉強をした。
なるべくお金の掛からない高校に入る為に…、ボクは必死だった。
15歳の冬。
中学に行っていたら中3。
もうすぐ受験の季節。
ボクはバイトを続けつつも一段と勉強に励んだ。
そんな時だ。
姉が倒れたのは…。
倒れた理由は疲労。
暫く安静にしてれば直ぐ元通りになると先生は言っていたが、ボクは酷く落胆した。
自分のせいだ……、と。
とりあえず其の日だけは点滴を受け、病院で過ごすよう言われた姉。
だが、姉は"大丈夫"と言って家に帰った。
一日だけだとしても、これ以上お金を掛ける訳にはいかない、と。
自分の身体の事よりも、家族の―――ボクの為に尽くす優しい姉。
ボクはそんな優しい姉が大好きで……、同時に罪悪感が募るばかりだった。
まともに働けないボクのせいで、
自分はまともに自分の時間も作れず、お洒落も出来ず、恋すら出来ないのだ。
そんな姉が可哀想で、哀(あわ)れで…。
ボクは自分の存在を疎ましく思った。
嗚呼…。
ボクなんか居なくなればいいのに…。
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