歪んだ愛《夾←妙》

4/36
2899人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
少しでも姉の負担にならぬように。 少しでも支えになるように、 ボクは年齢を誤魔化しバイトを始めた。 バイトの合間や家では常に参考書を眺めて…。 他の奴らに離されないように独学で勉強をした。 なるべくお金の掛からない高校に入る為に…、ボクは必死だった。 15歳の冬。 中学に行っていたら中3。 もうすぐ受験の季節。 ボクはバイトを続けつつも一段と勉強に励んだ。 そんな時だ。 姉が倒れたのは…。 倒れた理由は疲労。 暫く安静にしてれば直ぐ元通りになると先生は言っていたが、ボクは酷く落胆した。 自分のせいだ……、と。 とりあえず其の日だけは点滴を受け、病院で過ごすよう言われた姉。 だが、姉は"大丈夫"と言って家に帰った。 一日だけだとしても、これ以上お金を掛ける訳にはいかない、と。 自分の身体の事よりも、家族の―――ボクの為に尽くす優しい姉。 ボクはそんな優しい姉が大好きで……、同時に罪悪感が募るばかりだった。 まともに働けないボクのせいで、 自分はまともに自分の時間も作れず、お洒落も出来ず、恋すら出来ないのだ。 そんな姉が可哀想で、哀(あわ)れで…。 ボクは自分の存在を疎ましく思った。 嗚呼…。 ボクなんか居なくなればいいのに…。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!