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がたん、と。
真朝が音を立てて立ち上がる。
――ほら、真朝だってさすがにこの甘さには耐えられない――?
「もういい。
帰る」
怒っているのか拗ねているのか判別できない口調で、真朝が言う。
「どうして?
ここで気が済むまで話せばいいのに」
須藤 響哉が不思議そうに首を捻る。
けれども、真朝はまるで拗ねた子供のように唇を尖らせていた。
――ああ、と、私は合点が言った。
さっきの話の続きを、この人の前でするわけにはいかないってことか。
いまいち、事情の飲み込めない須藤 響哉を見て、私は思わず勝ち誇った笑みを浮かべてしまう。
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