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閉店後の[アクア]の店内、天井の照明は既に落としている。
ろ過そうを通って流れ落ちる水音、低く唸るモーター音。
僕は何時もの様に[水中の森]の前に椅子を引き出し、青白く光り輝く、水の中の世界を眺めていた。
『あの頃千夏は、僕の心の変化に、
気付いていた』
高3の秋頃を思い返してみる。
あの頃千夏は自分のせいで、僕が両親を失った悲しみを、1人背負わなければ成らなくなったと、思っていたのかも知れない。
千夏が階段から落ちたのは、千夏の罪では無いし、ましてや僕が両親と一緒に、里帰り出来なかったのも、千夏のせいでは無かったと思っている。
けれど僕の心の変化を、千夏は敏感に感じ取り、自分のせいと感じ、責めていたのだろぅか?
僕が変わった様に、両親の事故以来千夏の中でも、何かが変わったのかも知れない。
迂闊にもあの頃の僕は、自分の事で手一杯で、千夏の事に気を回す心が足りなかった。
千夏もまた、1人でどう扱ってよいか、分からぬ自分の心に、悩んでいたのだ。
総てを思い出せないが、あの頃の千夏の表情、目の動き、仕草、微妙な声の変化
断片的な記憶を手繰り寄せながら、
『僕ってダメな奴』
と、今更ながらため息をついた。
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