魔闘師

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「上位3名、ですか……」   『ま、フェルベールさんは確定よね。それじゃ、夜更かしはそこそこにしなさい。美容に悪いわよ』      そう言い残すと、扉の向こうから足音が遠退いて行く。それに合わせるように、シャノンは照明を暗くする。    淡いオレンジに光の落ちた部屋。先程まで一心不乱に読んでいた本を置き、明日の授業に想いを馳せる。     「実戦形式の課外授業……そう言えば」      試験の結果が頭を過り、ヒロトの成績を思い出す。    学年末の実技試験は、基本と応用力を両方見るために実戦形式であった。    ただ試験の出来具合を見るのと違い、実戦形式ならば肉体的な部分も使える。魔法の使えなかったヒロトが1位に君臨出来たのはそれに由来していると気付いたのだ。     「教科書以外のこと──つまり筆記は、教科書を詰め込んだだけでない、広い知識を評価された。そう考えれば……」      一度考え出せば思考は止まらない。    自分より下だと思っていた少年が、図書館での一件を挟むことにより違う視点で見れる。    この気持ちが、恋心なのかライバルに送る対抗心なのか、シャノン自身はまだ掴めていない。
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