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『桜華』
桜が咲いた。
またあの季節がやってきた。
ねぇ…あなたは、新しい恋を見つけましたか?
約束守ってくれましたか?
それは、私の願いだったの…あなたには今ここで止まってほしくない大好きだから大切な最初で最後に好きになった人。
本当は、サヨナラなんてしたくない。あなたに好きな人ができてほしくないそう思ってた…。
最低だなって、けどあなたが私に「結婚しよう。」って言ってくれたあなたに私は覚悟を決められた。
けどね今ならまたあなたといつか会える気がするの。
だから泣かないで約束しましょ。
またいつか…。
きっと今度はもっと可愛く生まれてくる。
約束。
八年後、俺は26歳になり新米の医者になっていた。一つ年下の彼女が出来た。君とは、あまり似てない明るすぎるほどの子で 大学の後輩だ。
あれから八年日記を書き始めた。ノートも数えられなくなるくらい毎日ぎっしりとノートのすみまで書いてある。
ただ彼女は、君のことを知ってるよ。
君の約束をやっと守れた気がした。
君を七年忘れられなかった。
君が死んで一年ずっと君が死んだなんて思いたくなくて死んだなんて信じなかった方。
きっとあの時恐かったんだ。
君がいないと壊れそうで苦しくて。周りの慰めの声が痛みにしか感じなくて空っぽになったそのあとの一年後、君のそばにいたくて君とよく帰り道通った崖の上の公園から崖に飛び降りようかと手すりを乗り越えようとしたとき君の声が聞こえた気がした時。振り返ると君のお母さんがこちらに寄ってきて俺の手をつかんだ。
かすれた声で『やめて…。』と言った。
その声が…
その目が…
一瞬、ずっと会いたかった君に変わる。
手を握り返し手すりから降りる。
すると君の笑い顔は、母に似てるのかと思うほど笑い顔、いやホッとした顔だろう。俺を見てホッとし抱きしめる。
その体が暖かかった。俺も君の母親の背に手をおいた。
震えていた…
すると急に目から暖かいものが流れる。
止めようと目をこすっても止まらない。
君の母親は気付いたのか、震えている手で俺の頭をなでた。
その瞬間、閉じこめていたものが流れ込み、初めて人前で大泣きをした。泣き崩れ泣きやまない子供のように…止めようとしても止まらなかった涙。
今考えると恥ずかしいような嬉しいような?
違う!恥ずかしい姿を見られてしまった…。
『最後のラブレターより』
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